知らないと危険!竹を切ってはいけない日と虫が湧くNGな時期

(更新日: 2025年10月3日)

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知らないと危険!竹を切ってはいけない日と虫が湧くNGな時期

庭の竹林が伸びてきたから、そろそろ整理しようかな、と考えているあなた、その手、少しだけ止めてください。

実は、古くからの言い伝えで「竹を切ってはいけない日」というものが存在することをご存知でしょうか。

ただの迷信だと思ったら大間違いで、これにはしっかりとした科学的根拠があり、無視すると後で大変なことになるかもしれません。

時期を間違えた竹伐採は、切った竹がすぐに腐ったり、カミキリムシなどの害虫が大量発生したりと、様々な危険を伴います。

特に竹が成長期に入る春先、具体的には2月、3月、4月、5月の伐採は最も避けるべきタイミングなのです。

この記事では、なぜ「竹を切ってはいけない日」が存在するのか、その理由を古の知恵と科学の両面から徹底的に解説していきます。

また、代表的な孟宗竹を切る時期を含め、あなたの「竹を切る時期を教えて」という切実な疑問に、プロの視点からお答えします。

正しい竹を切る時期を知るだけで、切った竹の寿命は驚くほど延び、DIYや資材としての価値も格段に向上するのです。

この記事を最後まで読めば、あなたはもう竹の伐採で失敗することはありません。

安全かつ効果的に竹を管理し、その恵みを最大限に活用するための知識がすべて手に入ることでしょう。

記事の要約とポイント

  • なぜ「竹を切ってはいけない日」がある?言い伝えと、虫が湧く科学的根拠をダブルで解説します。
  • 知らないと危険!特に2月、3月、4月、5月の春先における竹伐採がNGな理由が分かります。
  • 「竹を切る時期を教えて」という疑問に回答!孟宗竹を切る時期など最適な年間スケジュールを公開します。
  • 時期でここまで違う!切った竹の寿命を2倍以上に延ばし、高品質な竹材を手に入れるプロの技が学べます。

知らないと危険!竹を切ってはいけない日と言い伝えの理由

農林水産省では、竹の成長過程について詳しく解説しています。

竹をカットするに当たり、どんなのこぎりが必要か知らない方もいると思いますが、竹は滑るので通常ののこぎりよりも目の細かい竹専用ノコギリがお勧めです。

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庭の隅で、あるいは裏山で、青々と、しかし少し鬱蒼と茂る竹林を眺めながら、「そろそろ、あの竹を切らないとなぁ…」と溜息をついているあなた。その気持ち、痛いほどよく分かります。私も若い頃、30年以上も前の話ですが、何も考えずに勢いだけで竹にノコギリを当てて、後でとんでもないしっぺ返しを食らった経験がありますから。ジメっとした土の匂い、サワサワと風に揺れる笹の葉音、そんな中で行う竹伐採は、一見すると単純な力仕事に見えるかもしれません。しかし、そこには古くから伝わる「竹を切ってはいけない日」という、決して侮れない先人たちの知恵が息づいているのです。これは単なる迷信や縁起担ぎの話ではありません。無視すれば、切った竹はあっという間に虫に食われ、見るも無残な姿に成り果ててしまう…そんな危険をはらんだ、自然のサイクルに基づいた確かな理由があるのです。この記事では、私が長年の経験で培ってきた知識と、痛い失敗から学んだ教訓のすべてを、あなたにお伝えしようと思います。

竹を切ってはいけない日

危険

2月、3月

4月

5月

  • なぜ?竹を切ってはいけないと言われる科学的根拠と危険性
  • 特に注意すべき時期は2月,3月,4月,5月の春先
  • 孟宗竹を切る時期も同じ?種類による違いを解説
  • 間違った竹伐採で起こる問題点と切った竹の寿命への影響

なぜ?竹を切ってはいけないと言われる科学的根拠と危険性

竹をカットした場合、定量カットや角度をつけてカットしたいこともあると思いますが、のこぎりでは時間もかかるし難しいです。

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「竹を切るのに、日を選ぶなんて大げさな」そう思うのも無理はありません。現代の我々は、いつだって好きな時に行動できると信じていますからね。しかし、竹という植物は、我々が思う以上に繊細で、ダイナミックな生命活動を一年を通して行っています。竹を切ってはいけない日という言い伝えの裏側には、この竹の生態サイクルに基づいた、極めて合理的な科学的根拠が隠されているのです。

まず、一番のポイントは竹の内部に含まれる「デンプン」の量です。植物が成長するためのエネルギー源ですね。竹は春になると、ニョキニョキと驚異的なスピードで筍(たけのこ)を伸ばします。あの成長エネルギーはどこから来るのか?答えは、親竹の幹や地下茎に蓄えられたデンプンです。つまり、春の竹は、人間で言えば育ち盛りの子供にたくさんの栄養を送り届けている状態。幹の中はデンプンと水分でパンパンになっているわけです。

想像してみてください。そんな栄養満点の竹を切ったら、どうなるでしょう?

そうです、虫たちにとって、そこはまさに最高級のレストランに他なりません。特に厄介なのが、タケトラカミキリやチビタケナガシンクイムシといった穿孔虫(せんこうちゅう)です。彼らはデンプンの匂いを嗅ぎつけ、産卵管を突き刺し、孵化した幼虫が竹の内部をトンネルのように食い荒らしていきます。春に切った竹で何かを作ろうものなら、数ヶ月後には表面に小さな穴がポツポツと開き始め、中からは木屑のようなフンがこぼれ落ちてくる…。まさに悪夢です。これが、竹を切る時期を間違えたことによる直接的な危険の一つと言えるでしょう。

さらに、水分量の問題も見過ごせません。春の竹は筍に水分を送るため、幹の含水率が非常に高くなります。私が2010年の4月に、ここ静岡の自分の竹林で伐採した孟宗竹の含水率を測ったことがありますが、その数値はなんと85%を超えていました。一方で、同じ場所で11月に伐採した竹は50%前後まで下がっていたのです。

含水率が高いと、具体的に何が問題なのですか?

まず、水分が多いと乾燥に非常に時間がかかります。生乾きの状態が長く続けば、当然カビが発生しやすくなる。青カビや黒カビがびっしりと生えた竹材など、誰も使いたくはないでしょう。加えて、水分が多いと竹そのものの強度も低下します。乾燥が進むにつれて収縮し、ひび割れや変形が起こりやすくなるのです。せっかく苦労して切った竹が、使い物になる前にダメになってしまう。これほど悲しいことはありません。

つまり、「竹を切ってはいけない日」とは、科学的に見れば「竹がデンプンと水分を大量に含んでいる、虫や菌にとってご馳走となる時期」と言い換えることができるのです。先人たちは、このことを経験則から知っていました。そして、その知恵を「切ってはいけない日」という、覚えやすく、そして少しだけ畏怖の念を抱かせる言葉で後世に伝えてきた。我々はその深い洞察に、もっと耳を傾けるべきなのかもしれません。

特に注意すべき時期は2月,3月,4月,5月の春先

さて、竹が内部に栄養を溜め込む危険な時期について、もう少し具体的に深掘りしていきましょう。日本の多くの地域で、特に注意が必要なのは、暦の上で春にあたる2月、3月、4月、5月の期間です。この時期は、竹にとって一年で最も活動的で、デンプンを地上部に総動員させる季節に他なりません。

2月の終わり頃、まだ寒さが残る地面の下では、竹の地下茎が静かに、しかし確実に活動を再開します。来るべき成長期に備えて、エネルギーを蓄え、地上部へ送り出す準備を始めるのです。この時期に竹を切ると、すでにデンプン濃度が上がり始めているため、虫害のリスクは高まり始めます。

そして3月に入り、日差しが暖かさを増してくると、いよいよ筍が顔を出すシーズンが到来します。孟宗竹などは、この時期から猛烈な勢いで成長を始め、それに伴い親竹は幹に蓄えたデンプンを筍へとどんどん送り込みます。この時期の竹は、いわば「栄養のハイウェイ」と化しており、竹伐採を行うには最悪のタイミングと言わざるを得ません。

4月、5月は成長のピークです。筍は日に日に大きくなり、若竹へと姿を変えていきます。この時期に伐採された竹は、水分とデンプンの含有量が最大レベルに達していると考えて間違いありません。私が若い頃に大失敗をやらかしたのも、まさにこの4月の半ばでした。祖父から「春に竹を切るもんじゃない」と口酸っぱく言われていたにもかかわらず、「早く竹で縁台を作りたい」という逸る気持ちを抑えきれずにノコギリを握ってしまったのです。結果は、先ほどお話しした通り。半年も経たずに、縁台は虫たちの巣窟と化し、手で触るとボロボロと崩れる有様でした。あの時の悔しさと、祖父の言葉の重みは、今でも忘れられません。

この2月から5月にかけての時期は、竹が子孫(筍)を育てるために必死になっている季節です。そんな生命力に満ち溢れた時期に手を出すことは、単に品質の悪い材を得るだけでなく、竹という生命そのものに対する敬意を欠いた行為とも言えるのかもしれません。竹林を管理し、その恵みを持続的に利用していくためには、この「春は切らない」という大原則を、何よりもまず心に刻んでおく必要があるのです。

孟宗竹を切る時期も同じ?種類による違いを解説

竹をカットする場合、草刈機などで下草を刈る必要が出てくると思いますし、竹をカットするのは大変危険な作業です。

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「竹」と一括りにしてしまいがちですが、ご存知の通り、日本には様々な種類の竹が自生しています。代表的なもので言えば、孟宗竹(モウソウチク)、真竹(マダケ)、淡竹(ハチク)の三つでしょう。ここで、「孟宗竹を切る時期も、他の竹と全く同じでいいのだろうか?」という疑問が湧いてくるかもしれません。結論から言えば、大原則である「春は避けて、秋から冬に切る」という点は共通していますが、種類ごとの生態の違いによって、ベストなタイミングには僅かながら差が生まれてきます。

竹の種類主な特徴と用途筍の時期最適な伐採時期
孟宗竹日本最大。太く肉厚。食用筍、建材、竹炭3月~4月10月~12月
真竹しなやかで丈夫。竹細工、茶道具、物干し竿5月~6月9月~11月
淡竹節間が長く、割りやすい。建材、竹垣、楽器4月~5月9月~11月

巨大なる王、孟宗竹
まず、我々が最も目にする機会の多い孟宗竹ですが、これは筍の発生が他の竹よりも早く、3月から4月にかけてピークを迎えます。つまり、デンプンの地上部への移動が早く始まり、早く終わる傾向にあるということです。そのため、孟宗竹を切る時期としては、完全に成長が止まり、デンプンが地下茎に戻りきった後の10月から12月頃が最も理想的とされています。この時期に切った孟宗竹は、身が締まっており、加工後の狂いも少なく、非常に良質な材料となります。

しなやかなる職人、真竹
次に、竹細工の世界で最も重宝される真竹。この竹は孟宗竹よりも筍の出る時期が遅く、5月から6月にかけてがシーズンです。そのため、伐採のベストタイミングも少し後ろにずれます。具体的には、9月から11月頃。特に昔からの竹細工職人の間では、「旧暦の8月(現在の9月頃)に切った真竹が一番」という言い伝えがあるほどです。この時期の真竹は、油分が乗り、青々としていながらも適度に水分が抜け、編み物にする際のしなやかさと強さを両立させています。

多才なる芸術家、淡竹
淡竹は、筍の時期が孟宗竹と真竹の中間あたり、4月から5月にかけてです。そのため、伐採時期も真竹と同様に9月から11月頃が適期となります。淡竹は表面にうっすらと白い粉が吹いているのが特徴で、建材や楽器(尺八など)に利用されることが多いですね。

このように、竹の種類によって筍の成長サイクルが微妙に異なるため、最高の品質を求めるのであれば、その特性に合わせた伐採時期を選ぶことが重要になります。もし、あなたの目の前にある竹がどの種類か分からない場合は、筍が出る時期を観察してみるのが一番確実な方法でしょう。竹と対話し、その声に耳を澄ます。それこそが、竹と上手く付き合っていくための第一歩なのです。

間違った竹伐採で起こる問題点と切った竹の寿命への影響

時期を間違えた竹伐採が、いかに多くの問題を引き起こすか。これは、言葉で説明するよりも、私の苦い経験談をお話しするのが一番分かりやすいかもしれません。あれは、私がまだ20代前半で、親方の下で竹細工の修行を始めたばかりの頃でした。1988年の春、静岡の山奥での出来事です。

その年の4月、私はどうしても自分の手で竹の椅子を作ってみたくなり、親方の「まだ早い」という制止を振り切って、裏山の孟宗竹を数本、意気揚々と切り出してきました。切ったばかりの竹はずっしりと重く、水分で瑞々しく光っており、「これなら立派な椅子ができるぞ」と胸を躍らせたのを覚えています。

しかし、その後の現実は、私の甘い期待を無残に打ち砕くものでした。

まず、加工の段階で異変に気づきました。竹を割ろうとしても、水分が多すぎて繊維が粘り、綺麗にスパッと割れてくれないのです。無理に力を入れると、ささくれ立ってしまい、使い物にならない。なんとか形にしたものの、乾燥させる過程で、竹は見る見るうちに縮み、接合部分には大きな隙間ができてしまいました。ギシギシと音を立てる、なんともみっともない椅子です。

それでも、私は「まあ、初めてだからこんなものか」と自分を慰め、その椅子を軒先に置いて使っていました。悲劇が起こったのは、それからわずか3ヶ月後の夏のことです。

ある日の夕方、椅子に腰掛けていると、どこからか「キイ、キイ…」という微かな音が聞こえてくる。最初は気のせいかと思いましたが、耳を澄ますと、どうやら椅子の内部から聞こえてくるようです。恐る恐る竹の表面をよく見てみると、そこには直径1ミリほどの小さな穴がいくつも空いているではありませんか。そして、その穴から、白い粉がパラパラとこぼれ落ちていたのです。

「やられた…!」

タケトラカミキリの幼虫です。春の栄養満点の竹は、彼らにとって格好の産卵場所であり、孵化した幼虫が内部を食い荒らし始めていたのです。その後の劣化は凄まじいものでした。切った竹の寿命というものを、私はこの時ほど痛感したことはありません。秋に切った竹なら、丁寧に扱えば5年、10年と保つものが、春に切ったばかりに、たったの半年でその寿命を終えようとしていました。

翌年の春には、その椅子はもはや椅子の形を保ってはおらず、指で押すだけでボロボロと崩れ落ちる残骸と化していました。この一件で、私は竹の伐採時期を守ることの重要性を、骨身に染みて学びました。単に品質が落ちるというレベルの話ではないのです。時間と労力を無駄にし、自然の恵みをゴミに変えてしまう、愚かな行為に他ならない。この失敗がなければ、今の私はなかったでしょう。だからこそ、あなたには同じ過ちを繰り返してほしくないのです。

竹を切ってはいけない日を避け、最適な竹を切る時期を教えます

さて、ここまで竹を切ってはいけない日の危険性について、私の失敗談も交えながらお話ししてきました。しかし、いつまでも「ダメだ、危険だ」と脅かしてばかりでは、せっかくのあなたのやる気を削いでしまいかねませんね。ご安心ください。ここからは、いよいよ本題です。竹を切ってはいけない日、つまり春の伐採を避ければ、竹は我々にとってこれ以上ないほど素晴らしい恵みをもたらしてくれる、最高の天然素材となります。

あなたの「竹を切る時期を教えて」という声に、今こそ正面からお答えしましょう。

古くから、竹を切るのに最適な時期として、「中秋の名月から十五夜の月を見て切れ」という言い伝えがあります。これは旧暦の8月15日から9月13日頃にあたり、現在の暦で言えば9月の終わりから10月にかけての時期を指します。なぜ、この時期が良いとされたのか。それは、この頃になると夏の間に活発だった竹の成長が完全に止まり、光合成で作られたデンプンが、冬を越すために地下茎へと戻り始めるからです。

つまり、地上部の幹は、虫のエサとなるデンプンが少なくなり、水分も抜けて身が締まってくる。先人たちは、月の満ち欠けと自然のサイクルを結びつけ、天文学的な知識がなくとも、経験的にこのベストタイミングを知っていたのです。なんと素晴らしい知恵ではないでしょうか。

この言い伝えを現代科学の視点で補足し、より具体的に「この期間なら間違いない」と言えるのが、次の章で詳しく解説する秋から冬にかけてのシーズンです。これまで控えていた竹伐採への思いを、今こそ解放する時が来たのです。正しい時期を知り、適切な手順を踏めば、竹はあなたの手の中で、驚くほど素直で、頼もしい素材へと生まれ変わってくれるでしょう。さあ、最高の竹を手に入れるための準備を始めましょうか。

竹を切る時期

竹を切る時期を教えて

ベストシーズン

竹伐採

竹を切ってはいけない日

  • 竹を切る時期のベストシーズンは秋から冬(9月~1月)
  • 目的別:竹の活用で変わる最適な竹伐採のタイミング
  • 竹を切る時期を教えて!年間伐採スケジュール早見表
  • 正しい時期に切れば大丈夫!安全な竹伐採のコツと手順
  • 竹を切ってはいけない日まとめ

竹を切る時期のベストシーズンは秋から冬(9月~1月)

竹伐採におけるゴールデンタイム、それこそが、空気が澄み渡り、木々の葉が色づき始める秋から、厳しい寒さが身に染みる冬にかけての期間、具体的には9月から翌年の1月までです。なぜこの時期がベストシーズンなのか、その理由はこれまでの話でおおよそ見当がついているかと思いますが、改めて整理してみましょう。

1. デンプン含有量の低下
最大の理由は、やはりデンプンです。夏の間に葉で盛んに光合成を行い、筍を育て上げた竹は、秋になると冬眠の準備に入ります。地上部の活動を停止させ、来年の春に備えて、栄養分(デンプン)をすべて地下の貯蔵庫、つまり地下茎へと送り戻すのです。このため、9月以降の竹の幹は、虫たちにとって魅力のない、いわば「味気ない」状態になります。これにより、伐採後の虫害リスクを劇的に低減させることができるのです。

2. 含水率の低下
秋から冬にかけては、空気が乾燥し、植物全体の水分蒸散量も減少します。竹も例外ではなく、幹に含まれる水分量が一年で最も少なくなる時期です。含水率が低い竹は、軽量で扱いやすいだけでなく、乾燥にかかる時間が短縮され、カビの発生を抑えることができます。さらに、乾燥による収縮や変形、ひび割れといったトラブルも起こりにくく、加工後の寸法安定性に優れています。私が竹細工で使う竹は、必ずこの時期に切ったものと決めています。火入れをして油抜きをする際も、この時期の竹は「パチン!」と小気味よい音を立てて、美しい艶を放つのです。

3. 伐採作業のしやすさ
副次的なメリットですが、この時期は竹林の下草が枯れ、蚊や蜂、蛇といった害虫・害獣の活動も鈍るため、作業環境が格段に良くなります。夏の蒸し暑い中、汗だくでヤブ蚊と格闘しながらの作業に比べれば、安全性も快適性も雲泥の差です。澄んだ冬の空気の中で、竹と向き合う時間は、どこか精神が研ぎ澄まされるような清々しさがありますよ。

まとめると、9月から1月までの間に竹伐採を行えば、

  • 虫に食われにくい
  • カビが生えにくい
  • 変形やひび割れが少ない
  • 軽くて丈夫
  • 作業が安全で快適

といった、数多くの恩恵を受けることができるのです。これこそが、切った竹の寿命を最大化し、その価値を最大限に引き出すための、唯一にして絶対の秘訣と言えるでしょう。

目的別:竹の活用で変わる最適な竹伐採のタイミング

「秋から冬がベストなのは分かった。でも、すべての目的で同じ時期でいいのだろうか?」という、さらに一歩踏み込んだ疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。その通りです。竹を「どう使いたいか」によって、最適な伐採のタイミングは微妙に、しかし確かに変わってきます。ここでは、主な3つの目的に分けて、より専門的な伐採タイミングについて解説しましょう。

目的1:竹材として高品質なものを利用したい(DIY、竹細工、建材など)
これは、まさしくこれまでお話ししてきたケースです。虫に食われず、カビも生えず、丈夫で長持ちする、いわゆる「良材」を求める場合。この目的であれば、議論の余地なく秋の彼岸過ぎ(9月下旬)から翌年の1月までが絶対的なベストシーズンです。特に、孟宗竹であれば10月~12月、真竹や淡竹であれば9月~11月が、それぞれの竹の特性を最大限に引き出せる最高のタイミングと言えるでしょう。

目的2:竹林をこれ以上広げたくない、あるいは完全に駆除したい
一方で、増えすぎて手に負えなくなった竹林をなんとかしたい、という悩みを持つ方も多いはずです。この「駆除」を目的とする場合、実は伐採の考え方が180度変わります。

竹を完全に枯らしたい場合は、いつ切るのが最も効果的ですか?

驚かれるかもしれませんが、この場合の最適な伐採時期は初夏、具体的には6月から7月にかけてです。なぜなら、この時期は春に筍を伸ばすために、親竹が地下茎に蓄えたデンプンを一年で最も使い果たし、消耗しきっている状態だからです。そのタイミングで地上部を刈り取ってしまうと、光合成で新たな栄養を作ることができず、地下茎はエネルギー切れを起こしてそのまま枯死に向かいやすくなります。秋に切ってしまうと、地下茎には栄養が満タンの状態なので、翌春、また元気に筍を出してきてしまうのです。ただし、この時期に切った竹は、材としての利用価値はほぼゼロだと考えてください。あくまで「駆除」に特化した方法です。

目的3:美味しい筍をたくさん収穫したい
筍栽培が目的の場合、伐採は「間引き」の意味合いが強くなります。古くなった竹や、密集しすぎている竹を計画的に切ることで、日光が地面まで届きやすくなり、残された竹や地下茎に栄養が集中し、結果として質の良い筍がたくさん生えてくるようになります。この「間引き伐採」に適した時期は、やはり秋から冬(10月~1月)です。筍の収穫が終わった後(5月下旬~6月)に行う方法もありますが、材の品質や作業のしやすさを考えると、やはり秋冬の伐採が総合的には優れていると言えるでしょう。

このように、あなたが竹とどう向き合いたいのか、その目的を明確にすることで、自ずと最適な伐採時期が見えてくるはずです。

竹を切る時期を教えて!年間伐採スケジュール早見表

ここまでのお話を、一年間のカレンダーに落とし込んで、一目で分かるようにまとめてみましょう。あなたの「竹を切る時期を教えて!」という疑問に対する、これが私からの最終回答です。ぜひ、この表を保存して、あなたの竹林管理計画にお役立てください。

竹の状態伐採の適性主な目的と注意点
1月休眠期(後期)◎ 最適【材利用】最高の品質。寒さが厳しいので防寒対策は万全に。
2月活動準備期△ 注意【材利用】デンプンが動き始める。避けた方が無難。
3月成長期(前期)× 不適危険】筍シーズン開始。デンプン・水分共に最大級。
4月成長期(中期)× 不適危険】竹を切ってはいけない日のピーク。絶対に避けるべき。
5月成長期(後期)× 不適危険】若竹が硬化し始めるが、内部はまだ栄養豊富。
6月消耗期△ 注意【駆除目的】伐採に最適。地下茎を弱らせる効果大。
7月消耗期△ 注意【駆除目的】伐採に最適。切った竹は材利用不可。
8月回復期△ 注意葉が茂り、光合成が活発。デンプンを蓄え始める。
9月休眠準備期○ 適【材利用】下旬から伐採可能。真竹・淡竹のベストシーズン開始。
10月休眠期(前期)◎ 最適【材利用】【間引き】品質、作業性共に良好なシーズン。
11月休眠期(中期)◎ 最適【材利用】【間引き】孟宗竹のベストシーズン。
12月休眠期(中期)◎ 最適【材利用】年末の竹林整備に最適。品質は最高レベル。

この表を見ていただければ、竹の一年間のサイクルと、我々が関わるべきタイミングが明確になったのではないでしょうか。「竹を切ってはいけない日」とされる春の時期が、いかに竹にとって重要で、我々が手出しすべきでない期間であるかが、改めてお分かりいただけたかと思います。

正しい時期に切れば大丈夫!安全な竹伐採のコツと手順

最適な時期を選んだからといって、油断は禁物です。竹伐採は、正しい知識と手順を踏まなければ、思わぬ事故につながる危険な作業でもあります。私自身、安全対策を疎かにして、ヒヤリとした経験が一度や二度ではありません。切った竹の根元が裂け、槍のように跳ね返ってきた時は、本当に肝が冷えました。ここでは、安全に作業を終えるための、最低限守ってほしいコツと手順をお伝えします。

竹を切る時に一番危険なことは何ですか?

最も警戒すべきは、切っている最中の竹の予期せぬ動き、特に「跳ね返り」と「裂け」です。竹は非常に弾力性が高いため、無理な力がかかると、バネのように強力な力で跳ね返ることがあります。また、斜面に生えている竹を根元から切ると、倒れる勢いで根元が縦に裂け、その裂けた部分が作業者に向かって滑り落ちてくることがあります。常に竹の重心と、自分が立つ位置を意識することが何よりも重要です。

手順1:服装と道具の準備
まず、服装は長袖・長ズボンが基本です。竹林には蚊やブヨが多く、笹の葉で肌を切ることもあります。足元は滑りにくい長靴か安全靴。頭部を守るヘルメットと、目を守る保護メガネ、手を守る厚手の革手袋も必ず着用してください。
道具は、竹専用のノコギリが最適です。刃の目が細かく、竹の繊維を綺麗に断ち切ることができます。直径10cmを超えるような太い竹を切る場合は、チェーンソーも有効ですが、扱いに慣れていない方は無理をしないようにしましょう。

手順2:周囲の安全確認と伐採計画
作業を始める前に、必ず周囲の状況を確認します。電線や建物がないか、人や車が通る場所ではないか。竹を倒す方向を決め、そちら側に障害物がないことを確認します。一人での作業は極力避け、複数人で声を掛け合いながら行うのが理想です。

手順3:伐採の実行
竹を倒したい方向に、「受け口」と呼ばれる切り込みを、竹の直径の1/3から1/4程度の深さで入れます。地面から20~30cmくらいの高さが良いでしょう。次に、受け口の反対側から、受け口の少し上を狙って「追い口」を水平に入れていきます。ノコギリが進むにつれて竹はゆっくりと受け口の方向に傾き始めますので、完全に切断する前に、安全な場所へ退避してください。決して、倒れゆく竹の下には入らないこと。

手順4:後片付け
切り倒した竹は、枝を払い、運びやすい長さに玉切りします。残った切り株は、なるべく低い位置で切り揃えておくと、つまずく危険が減ります。切った竹をその場に放置すると、害虫の発生源になったり、新たな竹が生えるのを妨げたりするので、きちんと運び出して処理しましょう。

正しい時期を選び、正しい手順で伐採する。この二つが揃って初めて、竹は安全で価値のある恵みとなるのです。

竹を切ってはいけない日まとめ

長い時間、私の話にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。竹を切ってはいけない日、その言葉の裏に隠された科学的な理由と、先人たちの深い知恵を感じていただけたでしょうか。

春、全ての生命が芽吹く2月、3月、4月、5月。この時期の竹は、自らの子孫である筍を育てるために、その身にありったけの栄養を蓄えています。そんな生命力に満ちた竹にノコギリを当てることは、虫を呼び、カビを招き、切った竹の寿命を無残に縮めてしまう行為に他なりません。私の若い頃の失敗のように、あなたの時間と労力を決して無駄にしてほしくはないのです。

しかし、自然のサイクルに敬意を払い、竹が静かに眠りにつく秋から冬にかけて、私たちはその恵みを分けてもらうことができます。その時期に切られた竹は、驚くほど丈夫で、美しく、私たちの暮らしを豊かに彩る素晴らしい素材となってくれるでしょう。

竹を切るという行為は、単なる作業ではありません。それは、竹という生命と、それを取り巻く自然との対話です。竹の声に耳を澄まし、そのリズムに合わせて行動する。そうすれば、竹はきっとあなたにとって、最高のパートナーになってくれるはずです。

この記事で得た知識を携えて、ぜひあなたの竹林に立ってみてください。そして、あなたの手で、持続可能で美しい竹との関係を築き上げていってください。竹は、私たちの暮らしと文化に深く根差した、かけがえのない宝物なのですから。あなたの挑戦を、心から応援しています。