(更新日: 2025年11月24日)

春の訪れを告げる山菜、イタドリ。
そのシャキシャキとした食感と爽やかな酸味は、一度食べたら忘れられない魅力があります。
でも、イタドリの新芽をいざ目の前にすると「どうやって食べるの。
」「アク抜きや下処理が難しそう…」と、初心者の方は戸惑ってしまいますよね。
ご安心ください。
実は正しいイタドリの食べ方さえ知っていれば、誰でも簡単にご家庭で春の味覚を堪能できるのです。
この記事では、イタドリの食べ方の基本となる下処理の方法から、失敗しないアク抜きのコツまで、写真付きで丁寧に解説していきます。
また、さしどり イタドリ 違いといった素朴な疑問や、イタドリを食べる地域による文化の違いにも触れていきます。
さらに、長期保存に便利な塩漬けの作り方や、子供から大人まで大人気の天ぷらといった人気レシピもご紹介します。
意外と知られていないイタドリの葉の活用法まで網羅しているので、イタドリを余すことなく楽しめます。
この記事を読めば、あなたも今日からイタドリマスターです。
さあ、私たちと一緒に、美味しくて楽しいイタドリの世界へ踏み出しましょう。
記事の要約とポイント
- 初心者でも失敗しない、イタドリの新芽の正しい下処理と簡単なアク抜き方法
- 定番の天ぷらからご飯が進む炒め物まで、イタドリの人気レシピ
- 意外と知らない「さしどり イタドリ 違い」やイタドリを食べる地域文化
- 採れたての味を長く楽しむための塩漬けなど、保存がきくイタドリの食べ方
目次 ➖
失敗しないイタドリの新芽の食べ方!下処理とアク抜きの手順
春先の柔らかな日差しが、まだ雪の残る山の斜面を撫でるころ。
ふと足元に目をやると、アスパラガスのように力強く、赤紫色の斑点をまとったイタドリの新芽が顔を覗かせています。
「おお、今年も出てきたか」と、思わず笑みがこぼれる瞬間ですね。
しかし、その一方で「このイタドリ、どうやって食べたら一番美味しいんだろう?」「アク抜きって、なんだか面倒くさそう…」と、収穫をためらってしまう方も少なくないのではないでしょうか。
何を隠そう、30年以上前に初めてイタドリを採った私も、その独特の酸味とえぐみに見事に返り討ちに遭った一人です。
あの時の、口の中に広がる強烈な酸っぱさと、家族の怪訝そうな顔は今でも忘れられません。
でも、安心してください。
イタドリは、ほんの少しのコツを知るだけで、誰もが驚くような春のごちそうに変わるのです。
この記事では、私が長年の経験で培った、失敗しないイタドリの新芽の食べ方の全てを、余すところなくお伝えします。
下処理からアク抜き、そして絶品レシピまで、この春、あなたの食卓がイタドリで彩られるお手伝いができれば幸いです。
イタドリの下処理とアク抜きの全手順
下処理
アク抜き
塩漬け
さしどり イタドリ 違い
食べる地域
イタドリを美味しく食べるための下処理とアク抜きの手順を写真付きで解説。さしどりとの違いや食べる地域ごとの特徴も紹介します。初心者でも失敗しないコツから、長期保存できる塩漬けの方法まで、イタドリの食べ方の基本を完全網羅。
- さしどり・イタドリの違いはある?見分け方のポイント
- 意外と知らないイタドリを食べる地域と時期
- 苦味を取る!イタドリの下処理とアク抜き方法
- 長期保存も可能!本格的な塩漬けのやり方
さしどり・イタドリの違いはある?見分け方のポイント
さて、イタドリ採りに出かけてまず最初の関門となるのが、「これは本当に食べられるイタドリなのか?」という見極めです。
特に、よく似た呼び名で「さしどり」という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
このさしどり イタドリ 違いは、実は山菜採りの間でも意見が分かれる、なかなか奥深いテーマなのです。
結論から言えば、植物学的にはどちらも同じタデ科の「イタドリ」を指します。
ではなぜ呼び名が違うのか。
これは主に、その土地の呼び方や、食べるのに適した若い芽(=さしどり)と、成長した状態(=イタドリ)を区別するための愛称のようなもの、と捉えるのが一番しっくりくるでしょう。
私が師匠と仰いだ、秋田の又鬼(マタギ)の末裔である佐藤さんは、いつもこう言っていました。
「いいか、俺たちは”サシドリ”を採るんだ。
イタドリはもう硬くて食えん」。
彼にとって「さしどり」とは、指でポキンと簡単に折れる、瑞々しい若い芽のこと。
それ以上成長して、節が硬くなり始めたものは、もう「イタドリ」であり、食用には向かない、という明確な線引きがあったのです。
この見分け方が、実はイタドリを美味しく食べるための最も重要な第一歩と言えるでしょう。
【感動的な柔らかさ!「さしどり」の見分け方】
- 太さ: 人差し指から親指くらいの太さがベスト。
それ以上太いものは、繊維が硬くなっている可能性が高いです。 - 高さ: 地上から出て20cm~30cm程度の、まだ葉が完全に開ききっていないものを選びましょう。
ひょろひょろと背が高いものは、すでに旬を過ぎています。 - 折りやすさ: 茎の下の方を持って軽くしならせた時、根元近くで「ポキン!」と小気味よい音を立てて折れるものが極上品の証拠。
ぐにゃりと曲がるものは、すでに水分が抜けて筋張っています。 - 断面: 折った断面が瑞々しく、水滴がにじみ出るようなら最高です。
乾いているものは避けましょう。
私の大失敗談:見た目に騙された若き日の過ち
あれは私がまだ20代の頃。
一人で意気揚々と山に入り、人の背丈ほどもある立派なイタドリの群生地を見つけました。
「これは大漁だ!」と、夢中でリュックがはちきれんばかりに詰め込んで帰宅。
しかし、いざ皮をむこうとすると、まるで竹のように硬く、包丁の刃が立たないのです。
無理やり下処理をして煮物にしてみたものの、口に残るのは硬い繊維ばかり。
後日、その話を師匠の佐藤さんにすると、腹を抱えて笑われた後、こう諭されました。
「山の恵みはな、見た目の大きさじゃねえ。
一番うまい”一瞬”を見極めて、ありがたく頂くもんだ。
お前が採ったのは、もう”杖”にしかならんイタドリだ」と。
この苦い経験から、私は何事も「旬」と「見極め」が大切であると、骨身に染みて学んだのです。
皆さんも、どうか大きさには惑わされず、指で折れる柔らかさを基準にしてみてください。
意外と知らないイタドリを食べる地域と時期
イタドリは日本全国の野山に自生していますが、実はこの山菜を積極的に食べる地域というのは、ある程度限られています。
あなたの故郷では、イタドリは食卓にのぼる馴染み深い食材でしたか?それとも、ただの雑草だと思われていたでしょうか。
この食文化の地域差を知るのも、山菜の面白いところです。
主にイタドリを食べる文化が根付いているのは、高知県、そして東北地方や信越地方などの山間部です。
特に高知県では「イタドリ」は春の味覚の代表格。
郷土料理として深く愛されており、スーパーマーケットにも下処理済みのイタドリが並ぶほどです。
高知では、油で炒めて甘辛く味付けした「イタドリの油炒め」が定番で、これが本当にご飯によく合うのです。
私も一度、四万十川のほとりで地元の食堂に入った際、何気なく頼んだ定食に付いてきたイタドリ炒めの美味しさに衝撃を受けたことがあります。
シャキシャキとした歯ごたえと、少し残った酸味が、甘辛いタレと絶妙に絡み合い、旅の疲れが吹き飛ぶようでした。
一方で、東北地方では、塩漬けにして保存食として活用する文化が色濃く残っています。
雪深い冬を越すための、先人たちの知恵ですね。
春に採れたイタドリを大量に塩漬けにしておき、山菜が採れない時期に塩抜きをして、煮物や炒め物にして食べるのです。
私の師匠の家でも、大きな樽に何本も塩漬けイタドリが仕込まれていて、それが冬の間の貴重なビタミン源になっていました。
| 食べる地域 | 主な食べ方 | 旬の時期(目安) |
| 高知県 | 油炒め、煮物、きんぴら | 3月下旬~5月上旬 |
| 東北地方 | 塩漬け、煮物、おひたし、天ぷら | 4月下旬~6月中旬 |
| 信越地方 | 煮物、油炒め、漬物 | 4月中旬~6月上旬 |
| 九州地方 | 一部の山間部で食べられる | 4月上旬~5月中旬 |
このように、イタドリの食べ方は地域によって様々。
旬の時期も、桜前線のように南から北へと移っていきます。
だいたい、その土地の桜が満開になる頃から、少し遅れてイタリの新芽が出始めると覚えておくと良いでしょう。
ただし、同じ県内でも標高によって1ヶ月近く時期がずれることもありますから、やはり最後は自分の足で探し、自分の目で確かめるのが一番確実です。
苦味を取る!イタドリの下処理とアク抜き方法
さあ、最高の状態のイタドリ(さしどり)を採ってきたら、いよいよ調理の工程に入ります。
ここがイタドリを美味しく食べるための最重要ポイント、「下処理」と「アク抜き」です。
この工程を面倒くさがって省略してしまうと、せっかくの食材が台無しになってしまいますから、一つ一つ丁寧に行いましょう。
イタドリの独特の酸味やえぐみの正体は、主に「シュウ酸」という成分です。
このシュウ酸は、ほうれん草などにも含まれるアクの成分で、摂りすぎると体に良くない影響を及ぼす可能性も指摘されています。
そのため、必ずアク抜きを行う必要があります。
詳しくは農林水産省のウェブサイトなどでも食品の安全に関する情報が提供されていますので、一度目を通しておくと良いでしょう。
【プロが教える3ステップ!イタドリ下処理&アク抜き完全ガイド】
ステップ1:皮をむく
まず、収穫してきたイタドリをよく水洗いし、土や汚れを落とします。
次に、皮むきです。
イタドリの根元の方に包丁で少し切り込みを入れ、そこからバナナの皮をむくように、すーっと上に向かって剥いていきます。
節の部分は少し硬いですが、新鮮なイタドリなら面白いくらい綺麗にむけるはずです。
この皮むき、無心になれて意外と楽しい作業ですよ。
全ての皮をむき終えたら、食べやすい長さ(5cm程度)に切り揃えます。
ステップ2:熱湯にくぐらせる
大きな鍋にたっぷりのお湯を沸騰させます。
そこに、皮をむいてカットしたイタドリを投入。
時間はごくわずか、10秒~20秒ほどで十分です。
さっと茹でる、というよりは「熱湯消毒する」くらいの感覚ですね。
イタドリの色が鮮やかな緑色に変わったら、すぐにザルにあげてください。
ここで長く茹ですぎると、イタドリ特有のシャキシャキとした食感が失われてしまうので注意が必要です。
ステップ3:水にさらす
熱湯からあげたイタドリを、すぐにたっぷりの冷水に浸します。
ここからがアク抜きの本番です。
流水に半日~1日ほどさらしておくのが最も確実な方法です。
ボウルに入れて水を流しっぱなしにしておくか、それが難しい場合は、1~2時間おきに水を交換するようにしましょう。
水にさらしている間、時々イタドリを一本かじってみてください。
最初は強烈に感じた酸味が、時間とともに徐々に和らいでいくのが分かるはずです。
「このくらいなら美味しいな」と感じる、好みの酸味になったらアク抜き完了のサイン。
これで、どんな料理にも使える万能な食材としてのイタドリが完成です。
-
アク抜きは必ずしないとダメですか?
-
はい、必ず行ってください。
イタドリに含まれるシュウ酸は、過剰に摂取すると体内でカルシウムと結合し、結石の原因になる可能性があります。
また、何よりアク抜きをしないと酸味とえぐみが強すぎて、美味しく食べることができません。
安全に、そして美味しくいただくために、この一手間は絶対に省略しないようにしましょう。
長期保存も可能!本格的な塩漬けのやり方
春の一時期にしか味わえないイタドリ。
「この美味しさを、一年中楽しめたら…」そう思ったことはありませんか?
そんな願いを叶えてくれるのが、昔ながらの保存方法である塩漬けです。
正しい手順で塩漬けにすれば、冷蔵庫で半年から1年近く保存することが可能になります。
私も毎年、春になると大量のイタドリを塩漬けにして、冬の間の楽しみとしてストックしています。
ただし、この塩漬け、一度だけ大失敗をやらかしたことがあります。
それは塩の量を完全に目分量でやってしまった年のこと。
「まあ、こんなもんだろう」と適当に塩を振って漬け込んだ樽を、数ヶ月後に開けてみると、表面には青や白の気色悪いカビが一面に…。
山の恵みを無駄にしてしまった罪悪感と、師匠の「保存食は科学だ。
舐めてかかると痛い目を見るぞ」という言葉が頭をよぎりました。
この失敗から学んだ教訓は、塩分濃度は必ず正確に計量するということ。
皆さんには、私のような失敗をしてほしくないので、正確な分量と手順をしっかりお伝えしますね。
【失敗しないためのイタミの塩漬けレシピ】
材料
- 下処理・アク抜き済みのイタドリ:1kg
- 粗塩:200g~300g(イタドリの重量の20%~30%)
手順
- 容器の準備: まず、漬物樽や大きな瓶、あるいは厚手のビニール袋など、塩漬けにするための容器を準備し、熱湯消毒やアルコール消毒をして清潔にしておきます。
雑菌の繁殖は、失敗の最大の原因です。 - 塩をまぶす: アク抜きを終えて水気をよく切ったイタリに、用意した塩の3分の1ほどをまぶし、全体によく馴染ませます。
- 容器に詰める: 容器の底に塩を薄く振り、その上にイタドリを隙間なく並べていきます。
一段並べたら、また上から塩を振る。
これをサンドイッチのように繰り返していきます。 - 重石をする: 全てのイタドリを詰め終えたら、最後に残りの塩を一番上に振りかけ、押し蓋をして重石を乗せます。
重石は、イタドリの重量の1.5倍~2倍が目安です。
(イタドリ1kgなら1.5kg~2kgの重石) - 水が上がるのを待つ: 2~3日すると、イタドリから水分が出てきて(これが「水が上がる」という状態です)、ひたひたに浸かります。
この水(白梅酢ならぬ虎杖酢とでも呼びましょうか)が、イタドリを腐敗から守ってくれるのです。
もし水が上がってこない場合は、塩分濃度20%の呼び水を足してあげましょう。 - 冷暗所で保存: 水がしっかり上がったら、重石を少し軽くして、ホコリなどが入らないように蓋をし、冷暗所で保存します。
食べるときは、必要な分だけ取り出して、たっぷりの水に浸けて塩抜きをします。
塩抜きの時間は、漬けた期間や塩分濃度によって変わりますが、半日~1日ほど、途中で水を替えながら行い、少し塩味が残るくらいが丁度良いでしょう。
アレンジ自在なイタドリの新芽の食べ方と人気レシピ
さて、丁寧な下処理とアク抜きを終えたイタドリは、もうそれだけで立派な食材です。
独特のシャキシャキ感と、ほのかな酸味は、様々な調理法でその魅力を発揮します。
ここからは、私が長年作り続け、家族や友人にも「これはうまい!」と太鼓判を押されてきた、イタドリの新芽の食べ方と人気レシピをご紹介しましょう。
基本の天ぷらから、ご飯が止まらなくなる炒め物、そして意外なイタドリの葉の活用法まで。
あなたのイタドリ料理のレパートリーが、ぐんと広がるはずです。
「イタドリって、こんなに美味しかったんだ!」という感動を、ぜひ味わってみてください。
イタドリの人気レシピ5選と食べ方
レシピ
人気
天ぷら
食べ方
イタドリの葉
イタドリの新芽を使った人気の食べ方と簡単レシピを5つ厳選して紹介します。定番でサクサクの天ぷらから、ご飯が進む炒め物までアレンジは無限大。あまり知られていないイタドリの葉の活用法も解説。これであなたもイタドリマスター!
- サクサク食感がたまらないイタドリの天ぷら
- ご飯のお供に最高!簡単イタドリ炒めレシピ
- 実は食べられる?イタドリの葉の調理法
- イタドリの新芽の食べ方まとめ:春の味覚を堪能しよう
サクサク食感がたまらないイタドリの天ぷら
イタドリの食べ方と聞いて、まず多くの人が思い浮かべるのが、この天ぷらではないでしょうか。
まさに、イタドリ料理の王道中の王道です。
高温の油でさっと揚げることで、イタドリの水分が適度に飛び、シャキッとした食感がより一層際立ちます。
そして、衣のサクサク感とのコントラストが、もうたまりません。
我が家でも、春にイタドリを採ってくると、まず初日の夕食は天ぷらにすることがお決まりになっています。
【プロの裏技!冷めてもサクサクな天ぷらの衣】
美味しい天ぷらの秘訣は、何と言っても衣にあります。
ここで、私が天ぷら屋の親方からこっそり教えてもらった、家庭でもできる簡単なコツをお教えしましょう。
それは、衣にマヨネーズを少し加えること。
マヨネーズの油分と乳化作用が、衣をカラッとさせ、時間が経ってもベチャッとなるのを防いでくれるのです。
材料
- 下処理済みのイタドリ:お好みの量
- 天ぷら粉(市販品):100g
- 冷水:150ml
- マヨネーズ:大さじ1
- 揚げ油:適量
- 塩、天つゆなど:お好みで
作り方
- ボウルに天ぷら粉と冷水、マヨネーズを入れ、菜箸でさっくりと混ぜ合わせます。
ここで混ぜすぎないのがポイント。
少し粉のダマが残っているくらいが、サクッと揚がる秘訣です。 - 下処理したイタドリの水気をキッチンペーパーでよく拭き取ります。
水分が残っていると、油はねの原因になります。 - 揚げ油を170℃~180℃に熱します。
衣を数滴落としてみて、鍋の底まで沈んですぐに浮き上がってくるくらいが目安です。 - イタドリに衣を薄くつけ、そっと油の中に入れていきます。
一度にたくさん入れると油の温度が下がってしまうので、鍋の表面の半分くらいが埋まる程度にしましょう。 - 衣が固まり、カラッとした良い揚げ色になったら、網にあげてしっかりと油を切ります。
揚げ時間は1分~2分程度で十分です。
揚げたてのイタドリの天ぷらは、まずはシンプルに塩で味わってみてください。
イタドリ本来の爽やかな風味と、ほのかな酸味が口いっぱいに広がります。
もちろん、大根おろしを入れた天つゆとの相性も抜群。
春の息吹を丸ごといただくような、最高の贅沢です。
ご飯のお供に最高!簡単イタドリ炒めレシピ
天ぷらが「ハレ」の日のごちそうなら、こちらのイタドリ炒めは、日々の食卓で活躍する「ケ」の料理と言えるでしょう。
特に高知県で愛されている食べ方で、甘辛い味付けは、白いご飯が何杯でもいけてしまう危険な美味しさです。
調理も非常に簡単なので、忙しい日のあと一品にもぴったり。
下処理済みのイタドリさえあれば、10分もかからずに完成します。
【万能甘辛ダレで作る、絶品イタドリ炒め】
材料
- 下処理済みのイタドリ:200g
- 豚バラ肉(薄切り):100g(お好みで。
ベーコンや油揚げでも美味しい) - ごま油:大さじ1
- 鷹の爪(輪切り):少々
- A 醤油:大さじ2
- A みりん:大さじ2
- A 砂糖:大さじ1
- A 酒:大さじ1
- 白いりごま:少々
作り方
- 豚バラ肉は食べやすい大きさに切ります。
調味料Aはあらかじめ混ぜ合わせておきましょう。 - フライパンにごま油と鷹の爪を入れて中火で熱し、豚バラ肉を炒めます。
- 豚肉の色が変わったら、水気を切ったイタドリを加えて、シャキシャキ感が残るようにさっと炒め合わせます。
炒めすぎは禁物です。 - 混ぜ合わせておいた調味料Aを回し入れ、全体にタレが絡むように手早く炒めます。
- 仕上げに白いりごまを振ったら完成です。
このレシピのポイントは、イタドリを炒めすぎないこと。
余熱でも火が通るので、「少し早いかな?」というくらいで火から下ろすのが、シャキシャキ食感を残すコツです。
豚肉の旨味と甘辛いタレがイタドリの酸味と見事に調和し、最高の常備菜になりますよ。
冷蔵庫で3~4日は保存可能です。
実は食べられる?イタドリの葉の調理法
イタドリといえば、私たちは主にその若い茎を食べますが、実はその葉っぱも、食べ方次第で美味しくいただくことができるのをご存知でしたか?
ほとんどの人は皮むきと一緒に捨ててしまうイタドリの葉ですが、これもまた山の恵み。
昔の人は、こういった部分も無駄なく活用する知恵を持っていました。
ただし、注意点が一つ。
イタドリの葉は、茎以上にシュウ酸を多く含んでいるため、必ずしっかりとアク抜きをする必要があります。
また、一度にたくさん食べるのは避けた方が良いでしょう。
イタドリという植物そのものについての詳しい情報は、Wikipediaなどにも掲載されていますので、その生態を知るのも面白いかもしれません。
(参考:https://ja.wikipedia.org/wiki/イタドリ
【ほろ苦さがクセになる、イタドリの葉の佃煮】
アク抜きしたイタドリの葉は、ほろ苦い大人の味が魅力です。
お茶請けや、温かいご飯に乗せて食べるのにぴったりな、佃煮のレシピをご紹介します。
材料
- イタドリの若葉:100g
- 醤油:大さじ3
- 砂糖:大さじ2
- みりん:大さじ1
- 酒:大さじ1
- かつお節:ひとつかみ
- ちりめんじゃこ:大さじ2(お好みで)
作り方
- 徹底的なアク抜き: イタドリの葉をたっぷりの熱湯で5分ほど茹で、その後、最低でも丸1日は冷水にさらします。
途中、何度も水を替え、葉を一枚かじってみて、強いえぐみが感じなくなるまでしっかりとアクを抜いてください。
この工程が最も重要です。 - 細かく刻む: アク抜きが終わった葉の水気を固く絞り、細かくみじん切りにします。
- 煮詰める: 鍋に、刻んだイタドリの葉と全ての調味料、かつお節、ちりめんじゃこを入れて火にかけます。
- 焦げ付かないように時々混ぜながら、煮汁がほとんどなくなるまで弱火でコトコトと煮詰めたら完成です。
山椒の実を少し加えると、さらに風味が引き立ちます。
手間はかかりますが、捨ててしまう部分から美味しい一品が生まれる喜びは、格別なものがありますよ。
イタドリの新芽の食べ方まとめ:春の味覚を堪能しよう
さて、イタドリの新芽の食べ方について、私の知る限りの知識と経験を語ってきましたが、いかがでしたでしょうか。
さしどりとの違いを見極めて山で収穫する喜びから、丁寧な下処理とアク抜きというイタドリとの対話の時間。
そして、天ぷらや炒め物、塩漬けといった、その個性を最大限に引き出す調理法まで。
一見するとただの野草に思えるイタドリが、実はこれほどまでに奥深く、私たちの食生活を豊かにしてくれる存在なのだと、改めて感じていただけたなら、これほど嬉しいことはありません。
私が駆け出しだった頃の失敗談も、今となっては笑い話ですが、それらの経験があったからこそ、山の恵みをいただくことへの感謝と、食材に真摯に向き合う姿勢を学ぶことができました。
イタドリの食べ方に、絶対的な正解はありません。
今回ご紹介したレシピは、あくまで基本の一つ。
ぜひ、これをきっかけに、あなただけのオリジナルの食べ方を見つけてみてください。
カレーの具にしてみたり、細かく刻んで餃子の餡に混ぜてみたり…。
そのシャキシャキとした食感と爽やかな酸味は、きっとあなたの料理の新しい可能性を切り拓いてくれるはずです。
この春、もしあなたが山や野原で力強く芽吹くイタドリを見つけたら、ぜひ少しだけ、その恵みを分けてもらってください。
そして、家に持ち帰り、この記事を参考にしながら、ゆっくりと時間をかけて調理してみてください。
食卓に並んだ一皿は、きっと、どんな高級レストランの料理にも負けない、格別な春の味がするでしょう。
さあ、冒険の始まりです。
あなただけの最高のイタドリ体験が、すぐそこに待っていますよ。




