(更新日: 2026年1月7日)

念願のマイホームを手に入れた際、建物の予算に気を取られて意外と見落としがちなのが外構工事です。
その中でも、土地に高低差がある場合や、敷地の一部が斜面になっている場合に避けては通れない「土留め」は、費用相場が分かりにくく、多くの方を悩ませる種となっています。
「たかがブロックを積むだけなのに、なぜこんなに高い見積もりなの?」、「高さ1mを超えると、急激に土留め費用が上がると聞いたけれど本当?」といった疑問や不安をお持ちではないでしょうか。
実は、土留め工事にかかる費用は、施工する高さや土地の状況によって驚くほど大きく変動するのです。
例えば、ガーデニングで花壇を作るための30cmや50cm程度の簡易的なものと、宅地造成で安全性を確保するための2mや3mの擁壁工事では、求められる強度も工事単価も全く異なります。
そこで本記事では、外構のプロが作成したオリジナルの「土留め工事単価表」を特別に公開し、ブラックボックスになりがちな土留め費用の内訳を包み隠さず徹底解説します。
一般住宅でよく見られる60cmの土留めブロックから、1m以上の工事、さらには複雑な斜面の処理まで、具体的なシチュエーション別の相場を網羅しました。
また、外構全体の予算オーバーを防ぐために、プロだけが知るコストダウンの裏ワザや、信頼できる業者の選び方についても詳しくご紹介します。
適正な価格を知ることは、無駄な出費を抑え、理想の庭づくりを実現するための第一歩です。
この記事を最後まで読めば、土留めに関するお金のモヤモヤが晴れ、安心して工事を進められるようになるでしょう。
記事の要約とポイント
- 30cmから1m、2m以上の高さ別土留め工事単価表で適正価格がわかる
- 斜面や高低差のある土地で土留めブロックの費用を安く抑えるコツ
- 50cmや60cmなどDIY可能な範囲とプロに頼むべき境界線の見極め
- 外構全体の予算を守るために知っておくべき土留めの種類と選び方
目次 ➖
高さ別でわかる土留め費用の相場と土留め工事単価表
さて、ここからは皆さんが一番知りたい「お金」の話を詳しくしていきましょう。ガーデニングを楽しむ庭好きの皆さんにとって、土や植物にお金をかけるのは楽しくても、無機質なコンクリートやブロックにお金をかけるのは、なんだか損した気分になりますよね。その気持ち、痛いほどよくわかります。しかし、土留めは家の基礎と同じくらい、あるいはそれ以上に重要な「縁の下の力持ち」です。
なぜ高さによってこれほどまでに費用が変わるのか。それは、土が持っている「土圧」という力が、高さに比例してではなく、高さの二乗、三乗といった凄まじい倍率で増えていくからです。まずは、プロが現場で弾く計算の基礎となる、高さ別の土留め工事単価表の概算を見てみましょう。これを頭に入れておくだけで、見積書を見る目が劇的に変わります。
| 高さ(H) | 推奨工法 | 1mあたりの概算費用(材工共) | 特徴 |
| 30cm | 普通コンクリートブロック(CB) | 5,000円 ~ 8,000円 | 簡易的な仕切り。DIYも可能。 |
| 50cm | 普通ブロックまたは化粧ブロック | 8,000円 ~ 15,000円 | 花壇や低い境界線。基礎工事が必要。 |
| 60cm | 重量ブロック(12cm厚以上) | 12,000円 ~ 20,000円 | 宅地でよく見るサイズ。ここからプロ領域。 |
| 1m | 型枠ブロック(CP) | 35,000円 ~ 55,000円 | かなりの土圧がかかる。鉄筋量が急増。 |
| 2m | L型擁壁(RC) / 間知ブロック | 60,000円 ~ 90,000円 | 工作物確認申請が必要なレベル。重機必須。 |
| 3m | 現場打ち鉄筋コンクリート擁壁 | 100,000円 ~ | 崖条例等の法規制対象。地盤改良も視野に。 |
この表はあくまで「直線距離1mあたりの単価」です。これに加えて、コーナー部分の加工費や、土を掘削する費用、余った土を捨てる費用などが加算されることを覚えておいてください。
高さ別土留め費用と工事単価表
土留め工事単価表
30cm
1m
2m
3m
30cmや50cmの低いブロック積みから、60cmや1mを超える本格的な工事まで、高さ別の土留め工事単価表を用いて費用相場を解説します。2mや3mの高低差がある斜面や、外構全体の土留めブロック費用についても具体的な金額目安を提示し、予算計画をサポートします。
- 庭造りで一般的な30cmや50cmの施工単価
- 宅地造成で多い60cmから1mの土留めブロック相場
- 崖条例に関わる2mから3mの大規模工事の目安
庭造りで一般的な30cmや50cmの施工単価
まずは、ガーデニングをしていると頻繁に出くわす30cmや50cmといった「低め」の土留めについてです。この高さは、隣地との境界をはっきりさせたり、庭の中に高低差を作って立体感を出したりするのによく使われます。
正直なところ、30cm程度の高さであれば、ホームセンターで材料を買ってきてDIYで済ませてしまう方も多いでしょう。費用としても、普通ブロック1個が数百円ですから、モルタル代を含めても数千円から1万円程度で数メートル分は作れてしまいます。しかし、ここには落とし穴があります。たとえ30cmであっても、土の重さは侮れません。特に雨が降って水を吸った土は非常に重くなり、基礎をしっかり作っていないブロックは簡単に傾きます。
業者が施工する場合、50cmの高さの土留めであっても、必ず地面を掘って砕石を敷き、コンクリートでベース(基礎)を作ります。この「見えない部分」にコストがかかるのです。50cmの土留めを作るために、実際には地面の下30cmくらいまで掘り返すこともあります。
見積もりを見て「たった2段積むだけで10万円?」と驚かれることがありますが、その内訳の半分近くは、この基礎工事と、掘った土の処分費(残土処分費)だったりします。ここは「安心料」と割り切るか、あるいはガーデニングの一環として、崩れても被害が少ない場所なら自分で直す覚悟でDIYに挑戦するか、判断が分かれるところですね。
宅地造成で多い60cmから1mの土留めブロック相場
ここからが本番、そして多くのトラブルが発生する「魔のゾーン」です。60cmから1mという高さは、一見すると「大したことない」ように見えます。大人の腰くらいの高さですから、威圧感もそれほどありません。しかし、外構工事においてはこの高さから「構造物」としての強度が厳格に求められるようになります。
通常、高さ60cmを超えてくると、使用するブロックの厚みも変わります。10cm厚のブロックではなく、12cmや15cmといった厚みのある重量ブロックが必要になります。さらに、1mに近づくと「CPブロック(型枠ブロック)」という、中空部分にコンクリートを流し込んで一体化させる、非常に頑丈なブロックの使用が推奨されます。
ここでよくあるのが、「安く済ませたい」という施主の要望に応えて(あるいは利益を出すために)、本来は耐えられない普通のブロックで1m近い土留めを作ってしまう業者の存在です。これはネット上の口コミでもよく見かける「数年でブロックにヒビが入った」「傾いてきた」という失敗談の典型的な原因です。
1mの高さの土留め工事単価表を見ると、3万円から5万円程度と高額になっていますが、これはCPブロックやしっかりとした配筋(鉄筋を組むこと)の費用が含まれているからです。もし、1mの高さで「1mあたり1万円でやりますよ」という業者がいたら、それは企業努力ではなく、必要な工程を省いている可能性が極めて高いと疑ってください。安物買いの銭失いどころか、崩壊して隣家の車を傷つけたりすれば、損害賠償問題に発展するリスクさえあるのです。
崖条例に関わる2mから3mの大規模工事の目安
さて、ここからは「ガーデニング」の域を超え、「土木工事」の世界に突入します。敷地の高低差が2mや3mある場合、あるいは斜面に家を建てている場合です。
このクラスになると、もはやブロック積みでは太刀打ちできません。「L型擁壁」と呼ばれる鉄筋コンクリートの壁や、城壁のように石やコンクリート塊を積み上げる「間知(けんち)ブロック」積みが必要になります。さらに、高さが2mを超える擁壁を作る場合、多くの自治体で「工作物確認申請」という建築確認のような手続きが必要になります。これには設計図書の作成や構造計算が必要となり、工事費とは別に設計費や申請手数料がかかってきます。
また、各都道府県には「がけ条例」という厳しいルールが存在し、一定の高さや角度を超える斜面の近くに家を建てる場合、強固な土留めを設けることが義務付けられています。
参考リンク:国土交通省:宅地造成等規制法・がけ崩れ対策について
2m、3mの土留め工事単価表が跳ね上がる理由は、単に材料が増えるからではありません。この規模の工事には、大型のバックホウ(ショベルカー)やクレーン車が必要になり、それらを搬入するための道路事情も影響します。もし、あなたの土地が狭い道路の奥にあったり、階段を上がった先にあったりして重機が入らない場合、「手運び」「手掘り」という人海戦術になるため、費用はさらに1.5倍〜2倍に膨れ上がることもあります。
ここで、実際に現場でよく耳にする悩みや、ネット掲示板で囁かれる本音を、Q&A形式で紹介しましょう。これを読むと、きれいごとではない現場のリアリティが見えてくるはずです。
【緊急企画!外構のリアルお悩み相談室】
相談者(30代男性・新築検討中):
「土地が相場より300万円安かったので飛びついたのですが、高低差が2mある斜面地でした。外構業者に見てもらったら『土留めと擁壁で500万円かかる』と言われました。土地が安くてもこれじゃ意味ないです。ブロックを自分で積んで安くできませんか?」
ベストアンサー(ガーデニング編集長):
「結論から言います。絶対にやめてください。死にますよ。
厳しい言い方で申し訳ないですが、2mの土圧は素人がホームセンターのブロックで支えられるレベルではありません。雨が降ればその圧力は何トンにもなります。あなたが一生懸命積んだブロックは、最初の台風であっけなく崩れ去り、最悪の場合、下にある家や通りがかった人を巻き込みます。
その『相場より安い土地』は、まさに『擁壁費用がかかるから安い』という、不動産業界で言うところの『行って来い』の物件なんです。500万円の見積もりは、おそらくかなり良心的な価格か、あるいは最低限の仕様でしょう。
安く済ませる方法があるとすれば、土留めを作らずに『法面(のりめん)』として斜面のまま芝生などを植えて固める方法ですが、これだと使える平地面積が減ります。平らな庭が欲しいなら、その500万円は必要な投資、あるいは『安全を買う費用』と諦めてプロに任せてください。DIYは花壇までにしておきましょう。」
斜面や高低差がある外構の土留め費用を安く抑えるコツ
脅かすような話ばかりしてしまいましたが、もちろん、無駄な出費は抑えたいのが人情です。プロの業者は、安全性は確保しつつ、どうやってコストをコントロールしているのでしょうか。ここからは、斜面や高低差がある土地で、賢く土留め費用を節約するためのテクニックを公開します。
外構の高低差土留め費用節約術
斜面
高低差
外構
土留め
費用
斜面の崩落を防ぐ土留め工事は高額になりがちですが、工法選びで費用を抑えることが可能です。高低差がある外構で、強度を保ちつつコストダウンする秘訣を紹介します。土留めブロックの種類や、1m以上の施工で無駄を省くプロの知恵を活用し、賢く理想の庭を実現しましょう。
- 複雑な斜面の崩落を防ぐための追加コスト
- 敷地の高低差を処理する外構工事の節約術
- 土留め費用の総括と見積もり比較の重要性
複雑な斜面の崩落を防ぐための追加コスト
まず、コストダウンの話の前に、「削ってはいけないコスト」を理解しておきましょう。特に複雑な斜面の場合、ただ壁を作るだけでなく、水抜きの処理が命綱になります。
土留めが崩壊する原因のナンバーワンは「水」です。土の中に溜まった雨水が逃げ場を失い、水圧となって壁を内側から押し倒すのです。これを防ぐために、裏込石(うらごめいし)という砂利を壁の裏にたっぷりと入れ、水抜き穴を設置する必要があります。
悪質な業者は、この裏込石をケチったり、ただの残土で埋め戻したりして見積もりを安く見せかけます。斜面地での工事において、「他社より100万円安い!」という見積もりが出たら、まずはこの排水計画がどうなっているかを確認してください。ここを削ると、安物買いどころか、災害の火種を買うことになります。
敷地の高低差を処理する外構工事の節約術
では、どこで節約するのか。それは「工法」と「計画」の工夫です。全てを垂直なコンクリートの壁で囲おうとするから高くなるのです。
以下に、高低差のある土地で使える節約術をまとめました。
| 節約テクニック | 内容 | メリット | デメリット |
| 法面(のりめん)仕上げ | 壁を作らず、斜面のまま芝や植物で覆う | 費用が最も安い。緑が増える。 | 平らな庭が狭くなる。草刈りが大変。 |
| 二段土留め(段々畑工法) | 一気に2m上げず、1mの壁を2回に分けて階段状にする | 強度の低い(安い)ブロックで対応できる場合がある。 | 庭の有効面積が減る。適切な離隔距離が必要。 |
| 石積み(ドライスタック) | コンクリートを使わず、自然石を噛み合わせて積む | 熟練工なら安く済む場合も。水はけが良い。 | 職人の腕に左右される。高さに限界がある。 |
| PCフェンス基礎の活用 | ブロックではなく、独立基礎でフェンスだけ立てる | 土を止めず、転落防止だけが目的なら激安。 | 土が流れるのは防げない。 |
例えば、3mの高低差がある場合、一番下から3mの巨大な擁壁を立ち上げると莫大な費用がかかりますが、敷地を二段に分けて、1.5mの擁壁を二つ作る形にすれば、工事の難易度が下がり、トータルの費用を抑えられるケースがあります(ただし、これには安息角などを考慮した設計が必要です)。
また、家の裏手などの「人目につかない場所」は、高価な化粧ブロックをやめて、安価な型枠ブロックや、あるいは法面仕上げにしてしまうというのも賢い選択です。外構全体にお金をかけるのではなく、「家の顔」となる部分と、機能だけで良い部分のメリハリをつけることが、予算内で満足度の高い工事をする秘訣です。
土留め費用の総括と見積もり比較の重要性
ここまで、土留め費用の真実について、かなり踏み込んで解説してきました。1m、2m、3mと高さが変わるごとに、単にブロックの数が増えるだけでなく、工法そのものが変わり、法的責任も重くなることがお分かりいただけたかと思います。
最後に、最も重要なアドバイスをお伝えします。それは「相見積もり(あいみつもり)」の徹底です。
土留め工事単価表の数字はあくまで目安であり、現場の土質(粘土質なのか砂質なのか)、道路の広さ、残土処分場までの距離によって、見積もり金額は大きく変動します。A社では200万円だった工事が、B社では重機の保有状況や得意な工法の違いによって150万円になる、なんてことは日常茶飯事です。
ただし、ここで注意してほしいのは、単に「一番安い金額」を出した業者に飛びつかないことです。なぜ安くなっているのか、その理由(例えば、ブロックのランクを下げている、基礎の砕石を薄くしている、など)を確認してください。
信頼できる見積もりとは、詳細が明記されているものです。「土留め工事一式」ではなく、「掘削○○㎥」「型枠ブロック○○本」「鉄筋D13○○m」「コンクリート打設○○㎥」といったように、数量と単価が細かく記載されている業者を選びましょう。これは、後で追加費用を請求されないための防衛策でもあります。
参考リンク:公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター
土留めは、一度作ってしまえば、何十年とその土地を支え続ける重要な資産です。今日知った知識をもとに、業者に対して「ここは水抜きはどうなっていますか?」「この高さならCPブロックの方が良くないですか?」と質問を投げかけてみてください。その時の反応こそが、信頼できるパートナーかどうかの試金石となるはずです。
愛猫が日向ぼっこをする庭、子供たちがプール遊びをする庭。その足元を支えているのが、しっかりとした土留めです。安全という土台があってこそ、心からのガーデニングライフが楽しめるというもの。皆さんの庭づくりが、安全で、かつ納得のいく費用で実現することを、心から応援しています。さあ、まずは現状の敷地をメジャーを持って測りに行くことから始めてみませんか?意外な発見があるかもしれませんよ。
参考




