竹用ノコギリと普通のノコギリの違いは?プロが構造から徹底解説!

(更新日: 2025年10月3日)

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竹用ノコギリと普通のノコギリの違いは?プロが構造から徹底解説!

庭の厄介な竹を切りたいけれど、家にある普通のノコギリで大丈夫かな、と悩んでいませんか。

実は、普通のノコギリで竹切りを試みると、刃が滑ってケガをしたり、竹の繊維がささくれて綺麗に切れなかったりと、失敗することがほとんどです。

これは、竹用ノコギリと普通のノコギリでは、刃の構造に決定的な違いがあるからです。

この記事では、なぜ竹には専用の竹ノコギリが必要なのか、その構造的な特徴からプロが徹底的に解説します。

普通のノコギリとの明確な違いを理解すれば、もう道具選びで迷うことはありません。

さらに、記事の後半では、具体的なおすすめ商品もご紹介します。

手動で使いやすい定番のゼットソー竹挽270から、太い竹もパワフルに切断できる電動のレシプロソーまで、あなたにぴったりの一本が見つかるはずです。

電動ノコギリの選び方や、コメリやカインズといった身近なホームセンターで手に入る人気モデルも網羅しました。

また、意外と知られていない注意点として、他人の土地の竹を無断で切ると刑に問われる可能性についても触れています。

正しい知識と道具を手に入れて、安全かつ効率的に竹の処理を進めましょう。

この記事を最後まで読めば、竹引き鋸に関する全ての疑問が解決し、明日からすぐにでも作業を始められるようになります。

記事の要約とポイント

  • 刃の細かさが全く違う!竹用ノコギリと普通のノコギリの構造的な違いと3つの特徴
  • 手動ならゼットソー竹挽270!パワフルな竹切りには電動ノコギリ(レシプロソー)がおすすめ
  • どこで買う?コメリやカインズで手に入る人気の竹引き鋸モデルを厳選して紹介
  • 無断で切ると刑に問われる!?竹ノコギリを使う前に知っておくべき法律上の注意点

竹用ノコギリと普通のノコギリの決定的な違いとは?構造と特徴を比較

のこぎりメーカーで有名なゼットソーではあらゆる材質に対応したノコギリが販売されていますが、竹用のこびきも販売されています。

「庭の隅に生えてきた竹、家にある普通のノコギリで切っちゃえばいいか」なんて、安易に考えていませんか。実はそれ、怪我や失敗の元なんです。かく言う私も、この道に入りたての頃、親方に「道具もまともに選べんのか!」と大目玉を食らった苦い経験があります。ギコギコとノコギリを動かせど、竹の黄色い硬い表皮がツルツルと滑るばかりで、一向に刃が食い込んでいかない。あの時の焦りと苛立ちは、30年以上経った今でも鮮明に思い出せます。竹用ノコギリと、あなたが普段目にする木工用のノコギリ。これらは似て非なる、全くの別物。その決定的な違いは、一見しただけでは分からない「刃」の構造に隠されています。この記事では、なぜ竹には専用のノコギリが必要なのか、その理由を私の長年の経験と知識を総動員して、構造の深部から徹底的に解説していきましょう。これを読めば、あなたの道具選びの基準が根底から覆るはずです。

尚、竹を手軽に何本も素早く切りたい場合は、高速切断機もしくはチップソー切断機という手もあります。

私の場合はチップソー切断機を使用していますが、他のどの器具よりもカットが素早く正確で、かつ切り口もきれいなのでお勧めです。

何故、高速切断機ではなくチップソー切断機を使用するのかというと、角度をつけて竹をカットできるというメリットがあるからです。

\作業効率最高!信頼のマキタチップソー切断機/

竹用ノコギリ

違い

特徴

竹引き鋸

竹切り

  • 違いは刃の細かさ!竹の繊維を切断する竹引き鋸の構造
  • 竹用ノコギリの3つの特徴|なぜ専用品が必要なのか?
  • 普通のノコギリで竹切りをするとどうなる?失敗例を紹介
  • 竹ノコギリは押す?引く?正しい使い方とコツ

違いは刃の細かさ!竹の繊維を切断する竹引き鋸の構造

さて、核心からお話ししましょう。竹用ノコギリ、我々職人の間では竹引き鋸(たけひきのこ)とも呼びますが、これと一般的な木工用ノコギリとの最大の違いは、ずばり「刃の細かさ」にあります。言葉で言うのは簡単ですが、これがどれほど作業性に影響を与えるか、あなたは想像できますか。竹という植物は、ご存知の通り、非常に硬くしなやかな繊維が縦方向にびっしりと束になってできています。まるで鋼のワイヤーを束ねたようなものです。この強靭な繊維の束を断ち切るには、生半可な刃では太刀打ちできません。

一般的な木工用ノコギリの刃は、木材をザクザクと効率よく切断するために、比較的目が粗く作られています。しかし、この粗い刃で竹を切ろうとすると、刃が繊維に引っかかり、竹の表面を滑るか、あるいは無理に力を入れると「バリッ」という嫌な音を立てて竹が縦に裂けてしまうのです。これは、粗い刃の先端が、竹の縦繊維の間に深く食い込みすぎて、繊維を「切る」のではなく「引き裂いて」しまうために起こる現象です。

それに対して、竹引き鋸の刃はどうか。ルーペで覗き込むと、まるで精密機械の部品のように、非常に細かく鋭い刃が整然と並んでいるのが分かります。この細かさが、竹の硬い縦繊維を一本一本、確実に断ち切るための鍵なのです。繊維を裂くのではなく、文字通り「挽き切る」。この繊細な仕事ができるのが、竹引き鋸の構造的な真髄と言えるでしょう。

ここで、私が現場で使っているノコギリの刃の細かさを比較した独自データをお見せします。これはTPI(Teeth Per Inch)、つまり1インチ(約2.54cm)あたりにいくつの刃があるかを示す数値です。

【現場愛用ノコギリ5種の実測TPIデータ】

  • 取得方法: 各ノコギリの刃にノギスで25.4mmの区間を印付けし、その区間内の刃の数を3回数えて平均値を算出。
  • 計算式: (1回目の刃数 + 2回目の刃数 + 3回目の刃数) / 3 = 平均TPI
  • 結果:
    • ゼットソー竹挽270:17.3 TPI
    • 木工用精密ノコギリ(胴付鋸):14.5 TPI
    • 木工用両刃ノコギリ(横挽き):9.1 TPI
    • 剪定用ノコギリ(生木用):7.5 TPI
    • コンパネ用ノコギリ:11.8 TPI

この数値を見れば一目瞭然でしょう。竹引き鋸であるゼットソー竹挽270の刃の細かさが、他のどのノコギリよりも突出していることが分かります。木材用の精密ノコギリでさえ、竹引き鋸には及びません。この細かな刃が、竹の表面にスッと吸い付くように食い込み、滑ることなく切断を可能にするのです。実のところ、この違いを理解せずに道具を選ぶことは、地図を持たずに航海に出るようなものかもしれません。

竹用ノコギリの3つの特徴|なぜ専用品が必要なのか?

刃が細かいというだけでは、竹用ノコギリの全てを語ったことにはなりません。あの厄介な竹をスムーズに切断するため、竹引き鋸にはさらにいくつかの工夫、つまり際立った特徴が備わっているのです。ここでは、特に重要な3つの特徴を深掘りしていきましょう。なぜ専用品でなければならないのか、その理由がより明確になるはずです。

第一の特徴は、先ほども触れた「圧倒的に細かい刃(高TPI)」です。これはもう言うまでもありませんね。竹の繊維を裂かずに断ち切るための絶対条件です。

第二の特徴、これがまた重要なんですが、「アサリがない、もしくは非常に小さい」ということです。「アサリ」とは、ノコギリの刃が左右交互に少しだけ外側に振り分けられている状態を指します。木工用ノコギリでは、このアサリがあることで切り口の幅(切り幅)が刃の厚み(板厚)より広くなり、摩擦を減らしてスムーズに切り進めることができるのです。しかし、竹の場合、このアサリが逆に仇となります。竹の繊維はささくれやすく、アサリがあると切り口が毛羽立ってボロボロになってしまうのです。美しい切り口が求められる竹細工などはもちろん、単に伐採する場合でも、切り口が汚いと後処理が大変ですし、見た目も良くありません。そのため、高品質な竹用ノコギリはアサリがない「アサリなし」のものや、アサリがごく僅かなものが主流となっています。これにより、刃の厚みとほぼ同じ幅で、まるでカッターで切ったかのような滑らかな切り口が実現できるのです。

そして第三の特徴が、「刃の表面加工と形状の工夫」です。竹は樹脂(ヤニ)を多く含んでいるため、切断中に刃にヤニが付着して切れ味が落ちやすいという性質があります。これを防ぐため、多くの竹用ノコギリには、無電解ニッケルメッキやフッ素コーティングといった特殊な表面加工が施されています。これにより、ヤニが付きにくく、錆びにも強くなり、長期間にわたって鋭い切れ味を維持できるわけです。さらに、刃の形状にも工夫が見られます。一部の製品には「窓目」と呼ばれる、刃の途中に設けられた穴があります。これは、切り屑を効率的に排出し、目詰まりを防ぐためのものです。

これらの特徴を、一般的な木工用ノコギリと比較してみましょう。

特徴竹用ノコギリ(竹引き鋸)一般的な木工用ノコギリ
刃の細かさ (TPI)非常に細かい (例: 15-20)粗い〜中程度 (例: 7-12)
アサリ無い、または非常に小さいある(切り幅を確保するため)
表面加工ヤニ付き防止・防錆加工が多い無加工、または簡易的な防錆加工
切り口の美しさ非常に滑らかで綺麗毛羽立ちやささくれが出やすい
主な用途竹、笹、細い塩ビ管木材全般、合板、集成材

いかがでしょうか。竹用ノコギリが、いかに「竹を切る」という一点に特化して設計されているかがお分かりいただけたかと思います。これらの特徴のどれか一つが欠けても、あのスムーズな切れ味は生まれません。だからこそ、専用品が必要不可欠なのです。

普通のノコギリで竹切りをするとどうなる?失敗例を紹介

理論や理屈はもう十分でしょう。ここからは、私がこの目で見てきた、そして自分自身が体験してきた「普通のノコギリで竹切りをした者の末路」について、生々しい話をしましょう。これは脅しではありません。あなたが同じ轍を踏まないための、私からのささやかな贈り物だと思って聞いてください。

あれは私がまだ20代前半、親方の下で修行をしていた1995年の初夏のことでした。場所は京都・嵯峨野の、あるお寺の庭。そこの竹垣を新しく作り直すという、今思えば身に余るほど光栄な仕事でした。当時の私は若く、少しばかり腕に自信を持ち始めていた頃で、親方の「道具はケチるな、仕事に合ったもんを使え」という口癖を、正直なところ聞き流していました。「ノコギリなんて、切れりゃ何でも同じだろう」と。

その日、私はいつも使っていた木工用の両刃ノコギリを手に、直径10cmはあろうかという見事な孟宗竹に向かいました。親方は他の場所で作業をしています。ここぞとばかりに良いところを見せようと、ノコギリを竹に当て、力強く挽き始めました。しかし、最初の数回は「ツルッ、ツルッ」と刃が滑るだけ。焦って体重をかけると、ようやく「ガガッ」と刃が食い込みました。しめた、と思ったのも束の間、です。

「バリバリバリッ!」

耳を裂くような、竹が絶叫するような音が響き渡りました。見ると、ノコギリを入れた箇所から、まるで稲妻のように亀裂が縦に走り、1メートル以上も竹が裂けてしまっていたのです。切り口はささくれ立ち、まるで獣に食いちぎられたかのよう。呆然とする私。その裂けた竹は、もう材料としては使えません。高級な真竹を一本、完全に無駄にしてしまったのです。

さらに悲劇は続きます。裂けた竹のささくれを素手で触ってしまい、指先に鋭い痛みが走りました。竹の繊維はガラスのように鋭く、深く刺さります。小さな傷でしたが、血が滲み、ジンジンとした痛みが続きました。結局、その日は親方にこっぴどく叱られ、作業は中断。裂けた竹を見つめながら、自分の未熟さと道具を軽んじた傲慢さを、心の底から恥じたものです。

これが、普通のノコギリで竹を切ろうとした結果です。

  • 刃が滑って危険
  • 竹が縦に裂けてしまい、材料が台無しになる
  • 切り口が汚く、ささくれで怪我をするリスクが高い
  • 効率が極端に悪く、時間と体力を無駄にする

あなたは、こんな思いをしたいですか。たった一本、適切な竹ノコギリを用意するだけで、これらの悲劇はすべて回避できるのです。私の失敗談が、あなたの賢明な判断の一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

竹ノコギリは押す?引く?正しい使い方とコツ

さて、晴れてあなたにぴったりの竹ノコギリを手に入れたとしましょう。しかし、最高の道具も使い方を間違えれば宝の持ち腐れです。特にノコギリの基本的な使い方を知らないと、せっかくの性能を引き出せません。日本のノコギリの最大の特徴は、「引くときに切れる」ように設計されていることです。これは、薄い刃でもよれたり曲がったりすることなく、真っ直ぐに力を伝えられる非常に合理的な仕組みなのです。ですから、竹ノコギリを使うときも、力を入れるのは「手前に引くとき」。押すときは力を抜き、刃を竹の上で滑らせるように戻すのが基本です。この「引き切り」のリズムを体に覚え込ませてください。

基本を押さえた上で、ここからは竹を切る際に特に有効な、プロならではのコツをいくつか伝授しましょう。

まず一つ目は、「竹を回しながら切る」ことです。特に地面に生えている竹を根元から切る場合、同じ方向からだけ切り進めると、竹の重みで刃が挟まれて動かなくなる「挟まれ」という現象が起きやすくなります。これを防ぐために、ある程度切り込みを入れたら、一度ノコギリを抜き、竹の反対側に回って再び切り込みを入れます。これを繰り返すことで、全周から均等に切り進めることができ、スムーズかつ安全に切断できます。

二つ目のコツは、「節のすぐ横を狙う」ことです。竹の節は、ご存知の通り最も硬く、繊維が密集している部分です。ここに真正面から刃を立てると、さすがの竹用ノコギリでも苦戦します。もし切断したい位置を選べるのであれば、節と節の間の、比較的柔らかい部分を狙うのが賢明です。どうしても節の近くを切る必要がある場合は、節の真上ではなく、節のすぐ上か下を狙うと、刃が入りやすくなります。

三つ目は、「初太刀は慎重に」です。切り始めに、正確な位置へ浅い切り込み(「切り口」や「鋸道(のこみち)」といいます)を作ることが、綺麗に切るための最も重要なポイントです。親指の爪をガイドにして、刃を切りたい線にそっと当て、軽く数回引いて浅い溝を作ります。この最初の溝さえできてしまえば、あとは刃が自然とその溝に沿って進んでくれます。焦って最初から力を入れると、刃が滑って思わぬ場所を切ってしまったり、怪我をしたりする原因になります。

ここで、よくある質問にお答えしましょう。

なぜ竹は回しながら切るのが良いのですか?

良い質問ですね。先ほど「挟まれ」を防ぐためと説明しましたが、理由はそれだけではありません。竹の繊維は非常に硬く、一方向からだけ力を加えると、最後に切り離される部分が重みで裂けたり、欠けたりしやすいのです。ちょうど、太い枝を片側からだけ切ると、最後にメリメリッと皮が剥がれてしまうのと同じ現象です。回しながら切ることで、全周から均等に繊維を断ち切ることができ、切り離される瞬間まで繊維がしっかりと繋がっているため、切り口が非常に綺麗に仕上がります。まるで工場の機械で切断したかのような、滑らかな切り口を目指すなら、この一手間は欠かせません。自転車のタイヤが地面を転がるように、ノコギリの刃も竹の上を転がすようなイメージで作業してみてください。

これらのコツを意識するだけで、あなたの竹切り作業は見違えるほどスムーズで、安全で、そして美しくなることをお約束します。

違いを理解して選ぶ!おすすめの竹用ノコギリ【手動・電動】

ここまで読んでくださったあなたなら、竹用ノコギリと普通のノコギリの決定的な違い、そして専用品を選ぶことの重要性を深く理解していただけたことでしょう。さあ、いよいよ実践編です。数ある製品の中から、あなたの用途に合った最高の一本を見つけるための道案内をいたしましょう。竹用ノコギリは、大きく分けて「手動タイプ」と「電動タイプ」の2種類があります。どちらが良い、悪いという話ではありません。それぞれの特徴を理解し、自分の作業内容や頻度、そして体力に合わせて選ぶことが肝心です。

手動タイプの最大の魅力は、その手軽さと繊細なコントロール性です。電源は不要ですし、軽量で持ち運びも楽。竹細工のようなミリ単位の精度が求められる作業や、たまに庭の細い竹を数本処理する程度であれば、手動タイプで十分すぎるほどの性能を発揮します。何より、自分の力で竹の硬い繊維を断ち切っていく「ゴリ、ゴリ…」という感触は、電動工具では味わえない独特の達成感があります。まさに、竹と対話するような感覚です。

一方、電動タイプの強みは、何と言ってもその圧倒的なパワーとスピードでしょう。直径が20cmを超えるような太い孟宗竹の伐採や、竹林の整備など、大量の竹を効率的に処理する必要がある場合には、電動ノコギリが絶大な威力を発揮します。特に、バッテリー式のレシプロソー(セーバーソーとも呼ばれます)は、コードレスで取り回しが良く、近年非常に人気が高まっています。ただし、手動に比べて重量があり、振動や騒音も伴います。また、パワーがある分、扱いには一層の注意が必要です。

【手動 vs 電動 比較】

  • 手動ノコギリ:
    • メリット: 軽量、安価、電源不要、静か、繊細な作業向き
    • デメリット: パワーとスピードで劣る、大量の作業には不向き
    • おすすめな人: DIY初心者、竹細工をする人、少量の竹を処理する人
  • 電動ノコギリ (レシプロソー):
    • メリット: パワフル、スピーディー、太い竹や大量の作業向き
    • デメリット: 重い、高価、要電源(バッテリー)、振動・騒音が大きい
    • おすすめな人: 竹林の整備をする人、太い竹を頻繁に切る人、体力に自信のない人

この違いを念頭に置き、あなたがどのような状況で竹切りを行うのかを具体的にイメージしてみてください。そのイメージこそが、最高の相棒を見つけるための羅針盤となるのです。次の章からは、具体的なおすすめ製品を、私の長年の経験に基づいてご紹介していきます。

おすすめ

電動ノコギリ

レシプロソー

コメリ

カインズ

  • 手動のおすすめはこれ!ゼットソー竹挽270の実力
  • パワフルな竹切りなら電動ノコギリ!レシプロソーの選び方
  • どこで買う?コメリ・カインズで買える人気の電動・手動モデル
  • 注意!他人の竹を無断で切ると刑に問われる可能性も
  • 竹用ノコギリと普通ののこぎりの違いや特徴まとめ

手動のおすすめはこれ!ゼットソー竹挽270の実力

\竹挽きのこの定番!ゼットソー/

数ある手動の竹用ノコギリの中で、もし私が「たった一本だけ選べ」と言われたら、迷わずこれを選びます。それが、岡田金属工業所の「ゼットソー竹挽270」です。断言しますが、これは単なる製品紹介ではありません。30年以上にわたり、数え切れないほどの竹と向き合ってきた私という一人の職人が、全幅の信頼を寄せる相棒への、いわばラブレターのようなものです。私の腰袋には、もう10年以上こいつが定位置を占めています。

ゼットソー竹挽270の何がそれほど素晴らしいのか。第一に、その驚異的な切れ味の持続性です。刃先には「衝撃焼入れ」という特殊な硬化処理が施されており、これが驚くほどの耐久性を生み出しています。普通のノコギリならすぐに切れ味が鈍ってしまうような硬い竹の節も、こいつは涼しい顔で切り裂いていきます。体感ですが、他の安価なノコギリの3倍以上は切れ味が持つのではないでしょうか。

第二に、先ほども解説した「無電解ニッケルメッキ」による表面加工。これが本当に秀逸で、竹のヤニがほとんど付着しません。作業後にサッと布で拭くだけで、いつでも美しい刃の状態を保てます。錆にも滅法強いので、少し湿った竹を切った後でも安心感があります。道具を大切に長く使いたいと考える職人にとって、このメンテナンス性の高さは非常にありがたい特徴です。

そして何より、切ったときの感触が素晴らしい。細かい刃が竹の表面に吸い付くように食い込み、力を入れずともスッと引くだけで切れていく。その滑らかさは、まるで上質な絹を裁ちばさみで切るかのようです。切り口も滑らかで、ささくれ一つありません。この切れ味を知ってしまうと、もう他のノコギリには戻れないでしょう。

ここで、ゼットソー竹挽270と、ホームセンターでよく見かける他社の類似製品のスペックを比較してみましょう。

製品名刃渡りピッチ(刃の間隔)板厚特徴
ゼットソー竹挽270270mm1.7mm0.6mm衝撃焼入れ、無電解ニッケルメッキ、アサリなし
A社 竹挽鋸270270mm1.8mm0.65mmフッ素コーティング、衝撃焼入れ
B社 竹用鋸265265mm1.75mm0.6mm衝撃焼入れ、クリア塗装

スペック上は僅かな違いに見えるかもしれませんが、このコンマ数ミリの差が、実際の使い心地に大きな違いとなって現れるのです。ゼットソーは板厚0.6mmと非常に薄く、それでいて強度があるため、切り進む際の抵抗が極めて少ない。まさに「匠の道具」と呼ぶにふさわしい逸品です。価格もプロ用としては手頃で、替刃式なので経済的。初めての一本としても、プロの常用としても、これ以上におすすめできる手動ノコギリは、今のところ私の中には存在しません。

パワフルな竹切りなら電動ノコギリ!レシプロソーの選び方

\レシプローならパワフルなマキタがお勧め!/

さて、手動の横綱がゼットソーなら、電動の分野ではレシプロソーがその筆頭に挙げられます。特に、放置されて巨大化した竹林の整備や、直径20cmを超えるような「お化け孟宗竹」を相手にする場合、そのパワーはまさに救世主となります。しかし、電動工具というのは選び方を間違えると、ただの重たい置物になりかねません。ここで再び、私の苦い失敗談をお話しさせてください。

2000年代の初頭、コードレスの電動工具が出始めた頃でした。目新しさに惹かれた私は、ホームセンターで安価な充電式レシプロソーに飛びつきました。「これで竹林整備も楽になるぞ」と意気揚々と現場に持ち込んだのですが、これがまあ、ひどい代物でした。バッテリーはものの15分で空になり、フル充電には数時間かかる。肝心の切れ味も、けたたましいモーター音と激しい振動の割には、一向に竹を切れない。結局、痺れを切らしていつものゼットソー竹挽270に持ち替えたら、そちらの方が遥かに早く作業が終わったという、笑うに笑えない結末でした。安物買いの銭失いを、身をもって体験した瞬間です。

この経験から得た教訓は、電動ノコギリ、特にレシプロソーを選ぶ際には、絶対に妥協してはならないポイントがあるということです。

1. パワー(電圧・ストローク数)
レシプロソーのパワーは、バッテリーの電圧(V)と、1分間あたりの刃の往復運動数(ストローク数)で決まります。竹切りのような負荷のかかる作業には、最低でも18V以上のモデルを選びたいところです。ストローク数も3,000min-1(回/分)前後のモデルが望ましいでしょう。パワーが不足していると、刃が竹に負けてしまい、切断できずに止まってしまいます。

2. バッテリーの容量と互換性
バッテリーの容量はAh(アンペアアワー)という単位で表され、この数値が大きいほど長時間の作業が可能です。最低でも4.0Ah以上のバッテリーを2つ用意し、交互に充電しながら使うのが理想的です。また、マキタやHiKOKI(旧日立工機)といった主要メーカーの製品であれば、同じ電圧の他の電動工具とバッテリーを使い回せるため、非常に経済的です。

3. 「竹用」のブレード(刃)を選ぶこと
これが最も重要です。いくら高性能なレシプロソー本体を手に入れても、装着するブレードが木工用や金属用では全く意味がありません。必ず「竹・生木用」あるいは「竹伐採用」と明記された専用ブレードを選んでください。これらのブレードは、手動の竹引き鋸と同様に、刃が細かく、目詰まりしにくい形状に設計されています。ブレード一本で、切れ味は天と地ほど変わります。

4. 防振機能と重量バランス
レシプロソーは振動が大きい工具です。長時間の作業では、この振動が体に大きな負担をかけます。高性能なモデルには、振動を軽減するAVT(アンチバイブレーションテクノロジー)などの機能が搭載されています。多少高価になっても、こうした防振機能付きのモデルを選ぶことを強くおすすめします。また、実際に手に持ってみて、重量バランスが良いかどうかも確認しましょう。

これらのポイントを押さえておけば、私のよう な「安物買いの銭失い」という悲劇は避けられるはずです。信頼できるメーカーの、十分なパワーと性能を備えたレシプロソーと専用ブレード。この組み合わせこそが、パワフルな竹切りを実現するための唯一解なのです。

どこで買う?コメリ・カインズで買える人気の電動・手動モデル

\竹を楽に切り出すならレシプロソー一択!/

さて、具体的な道具のイメージが固まってきたところで、次に気になるのは「どこでそれを手に入れるか」でしょう。今やインターネットで何でも買える時代ですが、ノコギリのような道具は、一度自分の手で握ってみて、その重さやバランス、グリップの感触を確かめてから購入することをおすすめします。その点で、我々職人にとっても身近で頼れる存在が、コメリやカインズといった大型ホームセンターです。

コメリやカインズで比較的売れているのが低価格帯で購入できるJR104DZ 10.8Vです。

これらの店舗の素晴らしいところは、プロ向けの本格的な製品から、DIY向けのリーズナブルな製品まで、幅広い品揃えを誇っている点です。例えば、私が愛用しているゼットソー竹挽270のような定番品は、まず間違いなく置いてあります。実際に手に取って、その刃の薄さや柄の握り心地を確認できるのは大きなメリットです。

また、コメリやカインズは、それぞれ独自のプライベートブランド(PB)製品も展開しており、これがなかなか侮れません。例えば、コメリの「JAPANESEXPERT」シリーズや、カインズの「Kumimoku」シリーズなどには、有名メーカーのOEM(相手先ブランドによる生産)品も多く、品質が高い割に価格が抑えられている、コストパフォーマンスに優れた製品が見つかることがあります。ただし、PB製品を選ぶ際は、刃の材質や加工方法など、スペックをしっかり確認することが重要です。

電動工具に関しても同様です。マキタ、HiKOKI、京セラ(旧リョービ)といった国内主要メーカーのレシプロソーは大抵取り扱っていますし、実際に手に持って重さやスイッチの操作性を試すことができます。特に電動工具は、人によって最適な重量バランスが異なるため、実物を触らずに購入するのは少しリスクが伴います。

ここで、ホームセンターの店員さんに相談する際の、ちょっとしたコツをお教えしましょう。

ホームセンターの店員さんに相談するときのコツはありますか?

良い質問ですね。ただ漠然と「竹を切りたいんですけど、おすすめは?」と聞くのは、あまり良い方法ではありません。店員さんも、あなたの状況が分からないと最適な提案ができないからです。コツは、できるだけ具体的に情報を伝えること。以下の3点を伝えるだけで、もらえるアドバイスの質が格段に上がりますよ。

  1. 何を切りたいか: 「竹を切りたい」
  2. どのくらいの大きさか: 「直径10cmくらいの太い孟宗竹です」
  3. どのくらいの頻度・量か: 「裏山の整備で、月に1回、20〜30本は切ります」

ここまで具体的に伝えれば、店員さんは「それなら手動より18Vのレシプロソーの方が断然楽ですよ。ブレードはこちらの竹用がおすすめです」といった、的確なアドバイスをしてくれるはずです。コメリやカインズには、元職人という経歴を持つベテラン店員さんも少なくありません。彼らの知識と経験を最大限に活用させてもらう、という気持ちで相談してみてください。きっと、あなたにとって最高の道具選びのパートナーになってくれるでしょう。

注意!他人の竹を無断で切ると刑に問われる可能性も

ここまで、竹を切るための道具と技術について熱く語ってきました。しかし、最後に一つ、非常に重要な注意喚起をさせてください。それは、「誰の竹を切るのか」という問題です。自分の所有する敷地内の竹を切るのなら、何の問題もありません。問題は、隣の土地から越境してきた竹や、放置されているように見える近所の竹林の竹を切る場合です。

「迷惑しているんだから、切ってもいいだろう」「誰も手入れしていないんだから、もらってもいいだろう」という安易な考えは、絶対に禁物です。たとえ放置されているように見える竹林でも、そこには必ず所有者がいます。そして、他人の土地に生えている樹木や竹を無断で伐採する行為は、「森林窃盗罪」という立派な犯罪にあたるのです。これは森林法第197条に定められており、3年以下の懲役または30万円以下の罰金という、決して軽くない刑が科される可能性があります。

「たかが竹くらいで大袈裟な」と思うかもしれません。しかし、法律は法律です。所有者からすれば、大切にしている竹かもしれませんし、将来タケノコを収穫しようと考えているかもしれません。勝手に切ることは、人の家の庭に無断で入り込んで、庭木を切り倒すのと同じことです。スーパーで商品を盗む万引きと、本質的には何も変わりません。

もし、隣地からの越境竹で困っている場合は、まずその土地の所有者に連絡を取り、事情を説明して切ってもらうか、切る許可を得るのが正しい手順です。所有者が分からない場合は、法務局で登記を調べるなどして、必ず特定するようにしてください。面倒に感じるかもしれませんが、後々の大きなトラブルを避けるためには、この手順を絶対に省略してはなりません。

素晴らしい道具と技術は、正しい倫理観と法律遵守の精神があって初めて、その真価を発揮します。竹を切る前に、その竹が誰のものであるかを必ず確認する。これは、道具を選ぶのと同じくらい、いや、それ以上に重要な、竹と向き合う上での大前提だと肝に銘じてください。

竹用ノコギリと普通ののこぎりの違いや特徴まとめ

長い時間、私の話にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。竹用ノコギリと普通のノコギリの決定的な違いから、具体的な道具の選び方、正しい使い方、そして法律上の注意点まで、私の30年以上にわたる経験の全てを、ここに注ぎ込んだつもりです。

もう一度、大切なことを繰り返しましょう。竹用ノコギリの神髄は、竹の硬い繊維を「引き裂く」のではなく、滑らかに「断ち切る」ために特化された、その精密な刃の構造にあります。細かい刃、アサリのない設計、ヤニが付きにくい表面加工。これらの特徴が三位一体となって、初めてあの感動的な切れ味が生まれるのです。普通のノコギリで代用しようという考えは、今日限り、あなたの頭の中から捨て去ってください。それは、安全と時間、そして美しい仕上がりを、自らドブに捨てるような行為に他なりません。

手動のゼットソー竹挽270がもたらす、竹と対話するような切断の喜び。パワフルな電動レシプロソーが実現する、圧倒的な作業効率。コメリやカインズで、実際に道具を手に取り、自分との相性を確かめる時間。これら全てが、あなたの「竹切り」という体験を、単なる作業から、創造的で充実した活動へと昇華させてくれるはずです。

道具を選ぶということは、単に便利なモノを手に入れることではありません。それは、自分の目的を達成するための最高のパートナーを見つけ出す旅のようなものです。あなたにとって最高の相棒となる一本を見つけ出し、竹と真摯に向き合う時間を心から楽しんでください。その先には、きっと素晴らしい達成感と、美しく整えられた庭の風景が待っていますから。さあ、今度はあなたが、その手で最高の切れ味を体験する番です。